1  PIOネットのデータより

 「人の振り見て、我が振り直せ」ということわざがありますね。

 他人のミスを横目で見ながら、うっしっし…じゃなかった、「あ~、ありうる話かも。。。自分は気をつけよう」と気を引き締めることは、クリニックの守りを固め、医療サービスの質を高めるためにも大切なことと言えます。

  今回ご紹介するのは、全国の消費者相談の総本山ともいうべき国民生活センターによる発表からです。

 各種相談の件数及び傾向(美容医療サービス)

  ここにはPIO(パイオ)ネットに寄せられた美容医療サービス関連の相談の事例集が掲載されています。

  ん? PIOネット? という方は、こちら をご覧くださいね。

2  患者からのクレームの典型例ってどんなもの??

  今回の発表では、美容医療サービスをめぐる相談件数が年々増加しているとされています。
  まぁ、これはおおかた予想がつくところでしょう。

  その上で、ウェブサイトでは、最近の相談事例のうち代表的なものが20例紹介されています。

  これが、意外と参考になるんですよ。

 事例集をざっと眺めた私の印象は、「わ~どれも  あるある  だなぁ!」という感じです。
 美容医療をめぐるトラブルって、ほんと、9割以上はこんな内容じゃないでしょうか。

 先生方におかれては、トラブルの典型例にざっと目を通され、「どんな辺りがトラブルとなりやすいのか」、「日々の診療で、患者はどのような点に不満を持つのか」という点を、ざっと頭に入れておかれるとよろしいかと思います。

3 専門弁護士の利用の仕方

 とはいえ、一つ一つをよく見ていくと、簡単にひとくくりでは語れないようです。
 
 中には、「これは言い訳できんだろうな…」というような完全アウト! な事例から、
 「う~ん、これはそのケースでの事実経過を見ないと、どちらに非があるかはわからんだろう」という事例まで、様々な内容が含まれています。

  我々弁護士がお役に立てるのは、まさにこういうとこだと思うんですね。

  そのケースでの線引きというか、「今回の件て、第三者の目から見てどのくらいヤバいの!?」ということを率直にアドバイスしてもらえるという点が、医療機関の先生方にとっても、非常に有益だと思うのです。

  なんと言っても、弁護士は様々なクリニックにおける多種多様なケースや裁判例を見ておりますし、それぞれのケースでどんな決着がついたのかもおおよそ把握しているわけです。

  その中で、「これは事実関係をよく確認するまでわからんぞ」というケースでは、結論に影響を与えそうな事実につき詳細な経過を確認し、診療記録一式も拝見するなかで、今回のケースではどこまで争うのが得策なのか、争っていく場合にはどの争点を主戦場とし、どう反論していくのが効果的なのかという戦略を立てていくことになります。

  これなんかは、解決を見据えた「見込み」や「落ち着かせどころ」の見極めが必要となってくるので、経験がものを言ってくる分野と言えるでしょう。

  では、「言い逃れできない完全アウトなケース」のときには、弁護士の出る幕は無いのでしょうか?
  いえいえ、全く逆です。

  このようなケースでは、クリニックにとってできるだけ傷の少ない方法で解決に持っていく努力をしていくことになります。

 ミスそのものは「言い逃れできない」というものであっても、損害論(平たく言えば、賠償の費目と金額ですね)では大いに争える余地があるかもしれません。

 また、診療記録や事実経過を丁寧にたどっていく中で、思わぬ反論ポイントが見つかるかもわかりません。

  ほら、金ヶ崎の戦いでの木下藤吉郎の殿(しんがり)ですよ。まさに撤退戦です。

  撤退戦をうまく進められなければ、クリニックが必要以上のダメージを被ることにもなりかねません。
  抑えられるダメージは、経験豊富な弁護士にアドバイスをもらいながら、最小限に抑えられてはいかがですかということです。

  というわけで、今回は、典型的な相談事例をもとに、先生方のクリニックでも十分ご注意くださいと注意喚起をさせていただくとともに、美容医療をめぐる相談件数が増えている中で、専門弁護士の知識と経験をうまく使っていただきたいというご提案でした。